愛されるシャクナゲ ローディー
シャクナゲは昔から花木の女王と言われ、その気品に溢れた美しさは多くの人々を魅了してきました。日本に自生するシャクナゲはそのほとんどが深山幽谷に育つ高山植物で、下界での栽培は非常に難しく、まさにその名の通り「高嶺の花」といえるものです。
しかし、一般に栽培されているシャクナゲは西洋シャクナゲと呼ばれるもので、世界各地の原種を元に、欧米で品種改良された園芸品種で、日本に自生するシャクナゲに比べ、生長も早く、ずいぶんと作りやすくなっています。さらに、非常に色鮮やかで豪華なものが多く、華やかさは数ある花木(花の咲く庭木)の中でもバラに次ぐものと言えるでしょう。
5月上旬頃に、アメリカ西海岸のオレゴン州、ワシントン州からカナダにかけての地域を訪れてみると、家々の庭先や、公園、ショッピングセンターの駐車場など、あらゆるところで咲き誇るシャクナゲに出会うことができます。
そこでは、シャクナゲは最も愛されている花木として、ローディーの愛称(学名のロードデンドロンを略したもの)で呼ばれています。
シャクナゲ オリジナルローディーの生産
赤塚植物園では、ローディーの愛称で親しまれているこの[西洋シャクナゲ]に注目し、日本中にその美しい花が咲き乱れることを夢見て、導入と普及を試みました。
ところが、1972年より数年にわたってアメリカから大量に苗木を輸入したシャクナゲは、夏の涼しいヨーロッパやアメリカ北西部で育成された品種が多く、栽培こそ開始したものの日本の夏の暑さに弱いため苦労の連続でした。
1981年、失敗と苦労の中から、日本の気候に合うシャクナゲは、日本で育成するしかないと考え、自社でのオリジナル交配を始めました。
タネを蒔いたら、なるべく悪い環境で育て、生き残ったものの中からさらに交配を進める。ロスが多く大変効率の悪い話ですが、[雑草のようにたくましいシャクナゲを作り出す]ためには、この方法が一番です。そんな繰り返しの中から、生まれてきたのがアカツカのオリジナルローディーです。
スーパーローディーの誕生
1981年から始まったオリジナルローディーの育種は、当初、日本に持ち込んだ西洋シャクナゲから数えてすでに4代以上の交配が行われており、比較にならないほど、非常に強く、美しい樹形とたくさんの花を咲かせてくれるようになりました。
そこで、赤塚植物園では、これらのオリジナル品種で非常に強健で美しい品種を総じて「スーパーローディー」と名づけています。 現在、赤塚植物園では、年間10万鉢近くのスーパーローディーを生産しており、全国の園芸専門店様や量販店様を通じたくさんのシャクナゲファンの皆様の元にお届けをしております。
スーパーローディーの育種と選抜
赤塚植物園でのシャクナゲは、3つの大切な評価基準を設けそれに近づくように育種・選抜を行っています。
1.花:イメージを損わずも革新的で美しいと言える特徴があり、花付きが良いもの。
2.葉:形状・大きさがそろい、照り葉であるほうが良い。
3.樹形:できるだけ節間が詰まり、ボリュームがありながらもコンパクトに生育くする(鉢花としても楽しめる)。
一度交配を行うと数千粒の種子が生まれます。それらを一つ一つ丁寧に栽培し、5年近くもの歳月をかけて評価し選抜を行い、勝ち残ったものを新しい品種として世に登場させていきます。
スーパーローディーの基本的な性質
強い直射日光と西日の避けられる場所が良い
従来のシャクナゲと比べるとはるかに夏の暑さにも強いですが、やはり大きな落葉樹の下や家の東側など、強い直射日光と西日の避けられる場所の方が適していますので強い日差しの元よりもスムーズに育ちます。
根が浅く、空気を好む
水はけの良い所で、盛り土をして植えると生育が良いです。夏の乾燥時には適度な灌水も必要です。
酸性の土を好む
植え場所の土に鹿沼土を混ぜ込むか、鉢植えなら鹿沼土を多めに使います。
花を毎年咲かせるためには
花がら摘みを早めに
花が終わったら、早めに花がらを摘み取ります。タネが付くと、新芽の生長が遅くなり翌年の花が付きません。
早めに植え替え
花後すぐか、または10月~早春に行います。鉢植えの用土はピートモス2、硬質鹿沼土小粒6、パーライト1、川砂または庭土1がおすすめです。庭植えなら花後はなるべく避け、秋か早春に行います。
肥料を忘れない
2~3月頃新芽の動きだす前に燐酸とカリ分の多いものを与えます。10月にも与えておくと、冬の間も元気を保ちます。
害虫防除
グンバイムシやハマキムシが付きやすいので、春から夏にかけて、オルトランDX粒剤を毎月一回株元に播いておくと良いでしょう。
新芽の芽カキ・間引き
枝先から出る新芽の数が多すぎると花が付きにくいので、間引いて2~3本にすると良いでしょう。枝が充実し花芽が付きやすくなります。特に木が若いうちは有効な方法です。
庭植えの方法
植えつけに最適な時期は、9月~10月、または、3月~4月です。ただし、つぼみがついている状態では根を傷つけてしまうと蕾を落としてしまうことがありますので、蕾がついている場合はできるだけ花が終わってから植えつけします。
シャクナゲの根は空気を好むので周囲の土に鹿沼土や腐葉土をタップリと混ぜ込み、盛り土をして高植えにします。水はけの悪い土地では、根鉢の下にパーライトを敷き詰めると安心。植え込むときは根鉢の周りを割り箸などでつついて1/3ほど崩し、周りの土になじむようにしておくのがポイントです。
植え込んだ後、水をたっぷりと流し込んでおきます。大きな木の場合、倒れないように支柱をしておきましょう。その後の水やりは、土が乾くようであれば1~2週間に一度たっぷりと与えます(雨が降れば必要ありません)。2年目以降はよほど干ばつが続かない限り必要ありません。
鉢植えの方法
鉢植えにする場合、用土は鹿沼土6割、パーライト1割、ピートモス3割くらいの混合が適します。小苗を植える場合、1年目はマグァンプKを用土1L当たり1g混ぜ込んでおくと早く成長します。翌年くらいに庭に植える予定であれば、庭土との相性を考えて赤玉土3、鹿沼土3、パーライト1、ピートモス3くらいの混合が良いでしょう。
水やりは、鉢土が乾いたら与えるようにします。暑い時期に与え過ぎると根腐れを起こしやすいので注意してください。
肥料
10月と2~3月頃の年2回肥料を与えます。油粕7:過リン酸石灰2:硫酸カリ1(体積比)で混合したものが最適ですが、リン酸とカリの多い配合肥料でもかまいません。
病害虫防除
梅雨時と9月の長雨の頃には葉に病気が出ることがあるので、ダコニールやダイセンなどの殺菌剤を散布して予防します。春から夏にかけて毎月1回オルトラン粒剤を株元にまいておくとほとんどの虫が予防できますが、ハマキムシが付いてしまったら、薬はほとんど効かないので、手で捕殺します。
『独自開発した培養土』
赤塚植物園では、シャクナゲを栽培するための専用の培養土を独自に開発し生産しているすべてのスーパーローディーに使用しています。 酸性を好む植物は、主にツツジ科の植物で、この培養土もシャクナゲをはじめ、サツキ・ツツジ、ブルーベリーなどにも使用できます。≪ご購入と詳細はこちらから≫